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Fig-3 Selecting of data item

(4)データ表示
通常、データファイルの読み込みルーチンはそのファイルを作成したデータ収録ルーチンに依存することになる前項で述べたように収録部に汎用性を持たせたため、表示部についても同様な思想で設計した。データ表示に関しては、旋回軌跡で使用されるようなx-y表示と時系列グラフとしてのt-y表示の2種類に機能を絞った。【研究用TY軸グラフ】では、Fig-4のようにデータファイル名、y軸データ項目の2つを選択する構造とした。一例として、学生が実習で行ったZ試験中の実蛇角データをt-y表示したものをFig-5に示す。

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Fig-4 Setting for t-y plot

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Fig-5 The result of Z test

3-3. 制御理論の舶用制御システムヘの適用9)
近年、船舶も自動化が進み、航海計器や機関計装関連でもコンピュータが大幅に導入されており、教室において出動制御等の講義が実施されている。しかし、このような講義は一般的制御理論を扱わざるをえないため、学生にとってそれが船とどのように関係するのか、どのように適用されるのかが実感としてわかないようである。
商船学科学生の場合、低学年から実施される乗船実習時における操舵当直から、船酔いしながら舵をとり続けるつらさを経験している。このことは自動化推進のための制御理論を学ぶうえで、大きな動機付けとなり得る。このような背景から、学術論文も多数発表されている。オートパイロットを題材として卒業研究を実施した。ここでは、学術的な新規性は求めずに、既存の手法を使って実船実験を実施した。
(1)システム同定
舵取機や船体モデルは、単純な野本の一次モデルとした3-2.で述べたデータ処理システムを使って、ステップ応答やZ試験のデータを収録し、システム同定を行った。Table-1に得られた操縦性指数を示す。

Table-1 Time constant and Nomoto gain

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(2)制動系設計とシミュレーション
オートパイロットの制御法としてはオーソドックスなPID型を採用し、PID各ゲインについてはリレー制御等を使って決定した10)Fig-6にPIDコントローラを含めた保針制御系のブロック図を示す。ブロック図作成や実船制御実験前のシミュレーションの実施にあたっては、データ処理システムにインストールされた制御系設計ツールMATLABを利用した。このツールはマウスを使用してブロック図を作成すると人出力応答等を簡単に得られるため、時間的に限られた実験航海では大変便利である。
(3)実船制御実験
実システムの制御は、シミュレーションどおりにいかない場合が多い。ここで実際に練習船を使用して実船実験を実施できることが商船高等専門学校の特色であると考えている。本船では
?舵角
?CPP翼角
?バウスラスタCPP翼角
?スターンスラスタCPP翼角
?主機関設定回転数
の5点が船主作成プログラムから制御可能である。そこで、シミュレーションで前評価済みのオートパイロットをデータ処理システムにインストールし、保針、変針案

 

 

 

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